2023年9月7日に弊社主催で行ったウェビナー「海外進出企業 撤退に関する戦略と実践」の内、弊社代表パートナー楠本隆志の講義内容を公開いたします。
日本経済新聞|7月19日記事
“海外進出の中小企業、15%が撤退検討 国内回帰鮮明に”
(2023年7月19日19:09付日本経済新聞社記事より引用)
7月19日日本経済新聞公開の記事によると、海外に進出している日系中小企業341社のうち15%が撤退(国内回帰)を検討していることが日本政策金融公庫の調査により明らかとなりました。
しかし、このような状況は“国内回帰”という耳触りの良い言葉で本来表現すべきではなく、むしろ海外進出が進む世の中で撤退をせざるを得ないことにもっと危機感を感じるべきなのです。
かつては安い人件費を求め東南アジアに進出しサプライヤーとして業績を伸ばしていた企業も、2社購買・3社購買が一般化する中で価格競争に負け、撤退を余儀なくされている状況が増えています。そういった企業は「撤退の前にやるべきこと」=「生き残り戦略」をしっかりと行っているのでしょうか。
生き残り戦略|撤退前にやるべきこと
昨年までJETRO・中小機構のアドバイザーとして海外進出企業をみてきた中で、なぜ日本の中小企業が海外進出を成功できる企業とできない企業の違いがはっきりとわかりました。
海外進出を成功する企業は総じて現地パートナーとの協業を行っており、フェアで対等な関係を築きながらローカルの市場に参入しています。つまり、生き残り戦略とは、現地パートナーとの協業にあるのです。
パートナー探索プロジェクト
KCPは互いの強みを生かした現地パートナーとの協業を「海外進出成功の方程式」とし、これまで多くの日系企業の海外進出をお手伝いしてまいりました。その中で提供する「パートナー探索プロジェクト」こそ時代に取り残されないための唯一のソリューションであると確信しております。
どうしても撤退するしかない場合
生き残り戦略を行った上で、どうしても撤退をするしかないと判断し精算を考えた場合、下記のような「撤退コスト」を考える必要があります。
退職金
現状復帰
企業イメージの毀損
契約違約金
税金 など
中でも精算時に一番コストがかかるのが退職金であり、会社都合退職の際にかかる退職金の金額は莫大です。さらに、貸工場を使っている企業は現状復帰と言って、契約前の状態に直す、つまり機材の撤去や工場内の修繕等も行わなければなりません。
その他企業イメージの毀損や契約違約金の支払いなど、精算にかかるコストは計り知れないのです。
ではどうすれば良いのか。このような場合も「パートナー探索プロジェクト」を通じて現地パートナーを探すことがカギとなります。
資本提携という手法
なぜ現地パートナーが必要なのか。それは資本提携という形で会社を譲渡・売却することが一番理想的な方法だからです。
1. 精算コストがかからない
現地パートナーへ会社を譲渡する場合、退職金や現状復帰のような撤退コストはかかりません。つまり最悪の場合売却価格が1円だったとしても精算するよりは傷は浅くすみます。
2. ブランド価値の低下を最小限に抑える
資本提携という名目で会社を事実上譲渡・売却し、提携後も社名を残すことで「撤退」という表現をすることなくブランド価値を保つことができます。
3. サプライチェーンへの影響を抑える
これまで取引をしていたサプライヤーやクライアント等の引き継ぎも行えるため、サプライチェーンへの影響が最小限に抑えられます。
撤退という言葉は使わない
海外事業撤退を成功させるためには、「撤退」という言葉を使わないことが大切です。
資本提携・業務提携の道を探しましょう。
できれば数%残し、収入の道を確保しましょう。資本提携という名の「撤退」が決まっても最後まで収入の道を残すことで、海外戦略における勝ち負けに一喜一憂せず、復活の機会に向けて準備を整えるのです。これを剣道では残心と言います。
完全に海外進出の道を断つのではなく、捲土重来を期して備えましょう。
KCPはクライアントの最大限の利益を実現すべく、徹底的に現地企業のオーナー・経営陣に会う手法を用いてサポートいたします。
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