インドネシアは世界最大のニッケル埋蔵量を誇り、世界のEV生産拠点となることを目指す
COVID-19のパンデミックは、インドネシア経済のダイナミクスを再構築した。2020年には減速が見られたものの、2021年にはあらゆる規模のインドネシア企業が投資を継続的に行っており、経済回復の兆しが見えてきた。当初、ワクチン接種率の低さが懸念とされていたが、現在、首都ジャカルタにおいては8月末時点で100%が1度目、過半数が2回目の摂取を終える等、メガリ―ジョンを中心に着実に進捗が見られる。
インドネシアの「投資調整庁」であるBKPMによると、2021年上半期のインドネシアの国内外の投資実現総額は442.8兆IDR(307億米ドル)に達し、通年の目標実現額である900兆IDR(625億米ドル)の49.2%に相当する。投資実現の約51.5%が、ジャワ島以外に割り当てられていることは注目される。
これらの投資には、工業省の「Making Indonesia 4.0」イニシアティブに基づく電気自動車などのビジネス分野を対象とするものが含まれる。インドネシアは世界的な電気自動車生産のハブになるという野心を持っている。DBSインドネシアは、「インドネシア:電気自動車への投資と進出」と題したレポートを発表し、世界の電気自動車のサプライチェーンにおけるインドネシアの潜在的な役割と、インフラ面での目標を実現するための政府の計画を明らかにした。
2050年までにすべての自動車を電動化することを宣言
2020年のインドネシアの自動車保有台数は1億3,600万台で、そのうち84.5%が二輪車、残りは乗用車、バス、トラックである。二輪車の年間販売台数は2015年から増加している。なお、インドネシアの二輪車市場では、日本の自動車メーカーであるホンダ、ヤマハ、スズキが販売台数の80%以上を占めています。
政府は、2025年までに210万台の電動バイクと40万台の電気自動車が走行することを目指しており、これらの新車の20%は現地で製造される。2030年には電動バイク250万台、電気自動車60万台の国内生産を目指す。2040年以降、国内で合法的に販売できるのは電動バイクのみ。2050年には、インドネシア国内のすべての自動車を電気自動車にすることを目指す。
国営会社に加え、海外からの直接投資の呼び込みによりインドネシアをEV用電池のハブに
インドネシアは、リチウムイオン電池の主要原料であるニッケルの最大の埋蔵量を誇り、世界のEV電池市場をリードするビジョンを持っている。2021年3月、政府は新たな国有企業「Indonesia Battery Corporation(IBC)」を設立し、電池産業の育成に乗り出した。IBCは、2023年に電池セルの第一期生産を開始し、2024年には支援施設の建設を完了し、2025年には完全な電池生産を実施する予定である。
同時に、海外からの投資も促進する。政府は、EV産業の集積に資する海外からの直接投資については、100%の外資保有の許可から、各種の税制優遇措置まで、さまざまなメリットを提供している。5,000億IDR(3,470万米ドル)以上の設備投資を行うEV事業者は、法人所得税が100%減税され、1,000〜5,000億IDR(690〜3,470万米ドル)の投資は50%減税される。EV関連メーカーは、EV製造に使用される機械や材料の輸入関税削減の恩恵を受ける。
既にインドネシアのEV市場は、韓国のLG Chemが98億ドル、中国のContemporary Amperex Technology(CATL)が52億ドルを出資するなど、グローバル企業から数十億ドル規模の投資を集めている。その他、トヨタ自動車、現代自動車、スズキ、三菱自動車、テスラ、BASF(ドイツ)もインドネシアでの提携や投資の可能性について協議しているという。
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